労災保険関係は派遣元である請負事業者

労働者派遣関係は、「雇用」と「使用」の

分離といわれていますが、業務上災害が発生した場合の

責任問題をめぐっても「補償」と「賠償」の分離と言う事がいえます。

それは労基法により労災補償義務は派遣労働者の雇用主である

派遣元にあり、民事法上の安全配慮義務は、安全衛生管理に

ついてみなし使用者となる派遣先において発生すると

考えられるからです。

派遣労働者は、登録型であれ、常用型であれ、派遣元事業主との

雇用契約に基き派遣元事業主に雇用され、

派遣元事業主の業務命令により、派遣先の事業場へ派遣され、

派遣先事業主の指揮命令を受けて就業します。

このような法律関係の場合、災害補償責任を負う事業主は、

派遣元事業主又は派遣先事業主のいずれかが問題となります。

この点について、派遣法においては、労基法第8章

(第75条から第88条)についても、

労働者災害補償保険法(労災保険法)の適用についても、

特例措置は定められていません。

これらの災害補償は、雇用主である派遣元事業主の責任となります。

この点については、業務上の負傷、疾病に関る解雇制限の規定

(労基法第19条第1項)あるいは退職による補償を受ける権利の

不変更の規定(労基法第83条第1項)は、雇用契約関係の

当事者である派遣元事業主に災害補償責任のあることを

前提としていると考えられるので、

このため特例が設けられなかったということは、

災害補償責任については、派遣元事業主に

あることになるとされています。

さらに、災害補償のうち「休業補償」「遺族補償」「障害補償」等は

就労による賃金についての稼得金額のてん補を目的とするものであり、

賃金に代替する性格のものであることから、

賃金支払義務者である派遣元事業主が、

この面から言っても災害補償責任を負うことが正当といえます。

また、同様に請負事業者の場合も労災補償義務および

労働保険関係の適用事業主は、

当該労働者を雇用する請負事業者となります。

(建設業については、元請一括加入の特例があるが、

 建設現場の直接作業者の労働者派遣は認められていない。)

これは、構内請負における作業請負といった形態の場合も同様にあって、

労災保険関係は原則として、保険事業の性質上雇用契約関係に着目して

雇用主である請負人が「労働者を使用する事業」となり

同保険の適用事業主と定められています。