抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第2回

今年2月末のある日。午後9時30分、凍てつく寒さの中、

12時間の昼勤を終えた彼らが約束の場所に集まってきた。

宇都宮市清原工業団地の管理センター。

目の前に巨大なキャノンの工場がそびえ立つ。そこが彼らの職場である。

リーダーの名前は大野秀之(32歳)業務請負会社の

アイラインに登録し、キャノンの宇都宮光学機器事業所で

半導体露光装置(ステッパー)用の非球面レンズの研磨加工をしている。

このところ、彼らはちょっとした有名人である。

2006年12月に同じ職場の請負社員25人で労働組合

「キャノンユニオン・宇都宮」を結成。

支部長になった大野は今年2月、衆議院予算委員会の公聴会に招かれて

「偽装請負」の実態を訴えた。

請負社員の待遇改善は喫緊の課題である。

偽装請負は紛れもなく違法行為だ

しかし、大野は自分の身を案じているだけではない。

製造業の現場に身をおくものとして、もっと根源的な不安を感じている。

「このままでは日本のメーカーは、物が作れなくなるのではないか」

製造業の命である物作りを外部労働者に丸投げし、

自分たちは管理業務しかしないそんな正社員の集団である大企業が、

みるみる「抜け殻化」しているように見える。

この7年、キャノンの現場がどう変質していったか。

大野たちは克明に語ってくれた。