抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第21回

郵政公社は、今春から、不祥事防止のために、

内部監査の担当者を700人増やすなどコンプライアンス(法令順守)

関連の部署に2100人を配置する。

郵便担当から監査に回した人員の穴を埋めるため、

1500人の本務職員を新規採用した。

本来、民営化元年の今春は、人件費を抑えるため、

郵便配達の本務職員を採用しない計画だった。

しかし、抜け殻化した現場を立て直すには、

本務職員を増やすしかないと判断した。

定着率の低い非常勤職員い依存することによるサービス劣化は、

新生「日本郵政」にとって致命傷になりかねない。

例えば小包部門では民営化後、ヤマト運輸などとの

厳しい競争にさらされる。

「少なくともお客さんと接するフロントラインは

100%本務職員にすべき」と増田氏は言う。

効率を追求した10年間で、郵便現場は空洞化が進んだ。

民営化後、日本郵政の経営陣には収益向上への

強いプレッシャーがかかるが、

利益試行に走る前に、まずこの空洞を埋めなくてはならない。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第20回

窮状は数字に表れている。

2006年9月期の中間決算で意外なデータが明らかになった。

この期、郵政公社は本務職員の削減で70億円のコスト削減を達成したが、

一方で非常勤職員の

「時給単価上昇等」により138億円のコスト増が発生した。

この「時給単価上昇等」には、

新入りの非常勤職員に仕事を教えるための本務職員の

超過勤務手当なども含まれる。

「教えたそばから辞めていくから、

指導する立場の本務職員は教え続けるはめになり、

超過勤務が常態化している」と増田氏は指摘する。

求人広告や面接など、採用活動にかかるコストも馬鹿にならない。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第19回

例えば、郵便番号をスキャナーで読み取って仕分けする

区分機のメンテナンス。

1日2回の機械の掃除は従来、本務職員の仕事だったが、

最近は非常勤に任せる局が増えている。

1件、単純作業に見えるが習熟にはそれなりの時間がかかり、

新入りの非常勤が手順を間違えると読み取り率が落ちて

作業効率がガクンと下がる。こうした仕事から、

郵便業務の抜け殻かが進む。

日本郵政公社労働組合の増田喜三郎政策部長は

「非常勤で良質な労働力を確保するのが難しくなってきた。

定着率が低下して、仕事を教えたそばから辞めていくケースが増え、

本務職員の負担も増している。現場は

「もう限界」と悲鳴を上げている」と言う。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第18回

郵政公社は1998年に打ち出した

「地域区分局等における郵便内務事務の非常勤化施策」を皮切りに、

現在進行中の「アクションプランフェーズ2」に至るまで、

計4回の合理化計画で約3万人の本務職員を非常勤職員に置き換えてきた。

今年10月の民営化で発足する郵便事業会社の

正社員は10万6800人

これに対して非常勤社員は12万人に上がる。

2人に1人以上が非正社員になる計算だ。

現状でも、夜になると本務職員20人に対して

非常勤が100人と言う職場が珍しくない。

初めの頃は、「非常勤を使うのは主に夜間の単純反復作業」と言う

暗黙の区分があったが、数が増えるに連れて本務職員との垣根は消え、

割安な給料で本務職員と同じ仕事をするようになった。

「非常勤依存」は、すでに超えてはならない一線を越えつつある。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第17回

郵政不振に非常事態宣言

世界屈指の正確さを誇った日本郵便に異変が起きている

遅配、誤配は言うに及ばず、未配達の郵便物を捨てたり、

金品を抜き取ったり。にわかに信じがたい犯罪行為が続発している。

「昨今、職務外において社会的なルールを大きく逸脱した

犯罪が散見されますが、誠に残念なことであり強い危惧を

抱かざるを得ません。職務の内外を問わず、倫理、社会規範、モラル、

マナーを遵守し、公正な行動をとることが強く求められます。」

危機感を募らせた郵政公社の生田正治総裁は2月23日、

労組委員長との連名で「お客様の信頼向上に向けた共同宣言」を出した。

ある公社職員は

「総裁と労組委員長の共同宣言なんて今まで見たことがない」と驚く。

事実上の非常事態宣言といっても過言ではない。

10月の民営化が刻一刻と迫る中、募る一方の「郵便不振」

その原因の1つと考えられるのが非常勤職員の増加である。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第16回

「届かない年賀状」の背景も・・・・・

「12月28日に出した年賀状が、元旦に届かなかった。」

年賀状の配達について、今年1月18日までに日本郵政公社の

相談センターに寄せられた苦情は、前年比20%増の2849件に及んだ。

あまりの数に驚いた総務省が郵政公社に実態調査を命じ、

公社は3月16日に報告書を提出した。

この報告書で、今年の年賀状の遅配は4900万通、

全引受件数の約2%に達していたことが明らかになった。

中には12月25日に出したのに、元旦に届かないケースもあった。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第15回

「昔はテロップの一字一句に口を出すプロデューサーが存在し、

番組に責任と誇りを持っていた。しかし、

今のテレビ局の社員は番組制作の経験が乏しく、

促成栽培された人が目立つ。視聴者の信頼を回復するためには、

じっくりと人材を育てるしかない。」

テレビの仕事は若者の憧れで、過酷でも次から次へと

新しい働き手が供給されてきた。

しかし、最近は制作会社が合同で開催する就職セミナーに

参加する学生の数が減りえ始めている。

縁の下で支える製作会社に人が集まらなくなれば、

空洞化はますます加速する。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第14回

テレビ番組の品質問題が世の中を騒がせたのは今回が初めてではない。

過去にも多くのテレビ局が、

やらせなどの問題で番組打切りや関係者の処分を余儀なくされた。

普通の企業なら品質トラブルが頻発すれば存続が危うくなるが、

放送免許に守られ、競争原理が働かない

テレビ業界は同じ過ちを繰り返してきた。

1992年にある情報番組のやらせの責任を取って

制作会社の社長を辞任した稲塚秀孝タキシーズ社長はこう指摘する。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第13回

下請け依存の供お増が深刻な品質問題を引起すまでに至ったのは、

そこに、「視聴率至上主義」が重なったためだ。

関西テレビのある社員は「人事評価に成果主義が導入されていこう、

視聴率を稼ぎ、収益を増やすことを最優先にする風潮が強まった。

社員の間に数字が全てと言う雰囲気が広がった」

コストと視聴率の圧力は、下請け、孫受けとの取引にダイレクトに

反映された。「あるある」の場合、日本テレワークからある孫請けに

支払われる一本当りの制作費は、番組開始当初の1600万円から

860万円に減った。

制作費が削られれば、当然、人件費や取材経費を減らさざるを得ない。

取材の結果が当初設定したテーマに矛盾しても

ゼロからやり直す余裕はない。

捏造行為に手を染めた直接の責任が孫請けにあるのは確かだが、

テレビ局がその温床を自ら作り上げてきたのは間違いない。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第12回

テレビ局の下請け依存を象徴する人物がいる。

30年以上にわたって朝日放送に社員登用を

求め続けている安部昌男さんだ。

安部さんが音響効果のエンジニアとして朝日放送の現場で

働き始めたのは72年。

製作会社、大阪東通に籍を置いていたが、

朝日放送の社員と同じスタジオで同じように働き、

「新婚さんいらっしゃい!」など数多くの看板番組を支えてきた。

それでも給料は社員の半分程度しかもらえなかった。

処遇に疑問を抱いた安倍さんは、

74年から朝日放送に待遇改善を求めてきた。

裁判によって、和解に近づいた時期もある。

しかし、2001年9月大阪東通が民事再生法の適用を

申請したのを機に、テレビ局の現場から離れざるを得なくなった。

安倍さんはこう警鐘を鳴らす。

「テレビ局が雇用責任を果たさず、コスト削減を下に押し付けてきた

結果、現場の労働環境が劣悪になった。

それが番組の質の低下につながっている」

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第11回

その根底にあるのは、

製作コストの徹底した切り詰めだ。

デジタル化への対応や多チャンネル化で放送局の

コスト負担は年々大きくなっている。

現場では慢性的な人手不足が続くものの、

年収1000万円以上が当たり前の正社員を

簡単に増やすわけにはいかない。

そこで、年収200万円〜300万円程度で使える外部の

人材に様々な仕事を任せるようになっていった。

1960年代から会社が進めようとした外注化に対し、

テレビ局の労働組合は「仕事が奪われる」と強硬に反対した。

だが、技術職など限られた職種から始まった下請け活用は、

知らず知らずのうちに番組制作の中核にまで波及した。

当初、反対した社員も次第に安易な道に流れ、

会社と社員が一蓮托生となって外部依存を進めた結果が、

今の抜け殻のような状態だ。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第10回

全日本テレビ番組製作連盟(ATP)の調査によると、

民放とNHKがプライムタイム(午後7時から11時)に

流している番組のうち、テレビ局が自ら制作している番組は3割しかない。

ATPの工藤英博理事長は

「テレビ局のプロデューサーは番組作りよりも、

スポンサーと競合する企業の製品や、

差別用語のチェックに追われている。」と指摘する。

番組制作はテレビ局にとってコア中のコア業務のはずだ。

それをなぜ自ら投げ出してしまったのか。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第9回


<番組を作れないテレビマン>

下の図(省略します。)をごらん頂きたい。

あるテレビ番組を収録するスタジオの様子である。

総勢15人のスタッフのうち、

青の人形で表わしたテレビ局の社員を5人。

大半の仕事は赤で示した制作会社の従業員によって支えられている。

「あるある」問題の本質

この図自体は、番組制作の現場をデフォルメしたものだが、

表現されたイメージに違和感を抱く業界関係者はいないだろう。

程度の差こそあれ、

どのテレビ局も同じような状態で番組を作っているからだ。

図が物語るのは、テレビ局の正社員だけでは何もできなくなった

抜け殻化の現実だ。関西テレビが製作した

「発掘!あるある大辞典2」の捏造問題の本質も実はそこにある。

「あるある」の場合、関西テレビは番組制作を日本テレワークに

委託し、日本テレワークはさらに孫請けプロダクション9社に

企画や取材、編集を再委託していた。

関西テレビの社員として2人のプロデューサーがいたが、

内容をチェックする複数の機会があっても捏造を見抜けなかった。

調査や取材をほとんど丸投げしているのだから、

何がどうなっているのかわからなくてもある意味当然と言える。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第8回

日本の製造業は1980年代後半に始まった円高を、

最初は生産ラインの自動化で乗り切ろうとしたが、

政治的な配慮もあって、やがて生産拠点の海外移転軸足を移していった。

日本メーカーの海外生産は消費地に近い

アメリカ、ヨーロッパから始まったが90年代の後半になると

中国シフトが起きた。

電機メーカーなどは投資がかさむアメリカ、

ヨーロッパや日本の自動化ラインを捨てて、

中国に安い労働力をフル活用できる人海戦術の生産ラインを作った。

この間、国内では労組が弱体化し、

企業は業務請負や人材派遣を多用し始める。

働くことに対する若者の意識も変わり、

好きな時に働いて好きな時に休む「フリーター」が

もてはやされるようになった。

2000年代に入ると、

日本メーカーは中国で品質の壁にぶち当たり、

「国内回帰」に舵を切る。それを可能にしたのが、

中国の工場と戦えるレベルまで人件費を引き下げる請負、

派遣の活用だった。そして、日本は非正社員に依存する

抜け殻企業だらけになった。それは製造部門だけでなく、

事務部門や流通、サービス業にも波及し、

あらゆる分野で品質を低下させた。請負・派遣依存の最大の問題は、

起業が人を育てなくなったことだ。

切りたい時に切れる労働力に味をしめた経営者は長い時間をかけて

人を育てる労を厭うようになった。

かつて「世界一」と畏怖された日本企業の人材力は内側から瓦解した。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第7回

バブル崩壊後、長く続いた

低成長時代に、日本の経営者は雇用をリスクと考えるようになり、

終身雇用を否定して「雇用の流動化」を推し進めていた。

そこにうまくはまり込んだのが用務請負と人材派遣である

経営者は会社の仕事を因数分解し、

ノンコアとみなした仕事から順次、請負、派遣切り替えていった。

1995年から2005年の10年間に、

日本の正社員は405万人減り、請負、派遣などの

非正社員が632万人増えた。

企業は必要な時に必要な分の労働力を使い、

働く側も働きたい時だけ働く。

「労働力のジャスト・イン・タイム」が

実現されたかに見えた。

事実、効果はてきめんだった。人件費が圧縮され、

社会保険や退職金。年金の負担も減り、

面白いように利益が出た。大したヒット商品も無いのに、

過去最高益を更新する企業が続出した裏には、こんなカラクリがあった。

非正社員の活用は、緊急避難策としては有効だが、

生産や販売・サービスといった企業活動の

最前線を非正社員に任せっぱなしにしたのでは、

企業は早晩、抜け殻化する。

総わかっていても、一度そのうまみを知ってしまうと、

辞められなくなるのが請負。派遣依存症の怖さである。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第6回


そんな処遇に耐え切れなくなった請負社員は次から次と辞めていく。

正社員のいない現場で新入りの請負社員を指導するのは大野等だ。

最近は多くの企業が正社員の採用を増やし、

請負を辞める仲間が増えている。

「俺、来月で辞めます。正社員の口が見つかったもんで」

親身になって仕事を教えた後輩にこう言われると、

大野たちは「良かったな」と力なく笑うしかない。

「22万円のやつらが育ってきたら、

 28万円のロートルを切ればいい」。

キャノンの正社員が陰でそんな話しをしていることも知っている。

大野の月給は28万円、佐藤は22万5千円だ。

「もう入らないと言うなら、他へ行く。

だが、自分たち抜きでこの仕事が回るのか。

そろそろハッキリさせて欲しい」そんな思いで

大野たちは組合を作り世間に声を上げた。

キャノンは3月末、2万1千人の

請負・派遣社員のうち3500人を、2008年末までに

直接雇用に切り替える方針を打ち出した。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第5回


2007年1月、キャノンはステッパー市場でのシェア回復を

狙った新製品を投入した。

「新しい工作機械は、研磨作業を始める前の工具の調整に

7時間もかかる代物だった。」(大野)

さすがの大野たちにも、正社員に聞きたいことがある。

だが、正社員に直接聞けば偽装請負。

そこで、今は苦し紛れにこんな方法を取っている。

キャノンの正社員が管理約のアイラインの正社員を呼びつける。

大野たちも一緒についていくが「お前はあっちを向いていろ」と

命じられ、キャノンの正社員がアイラインの正社員に

向かって指示を出す。

「俺には何のことだかさっぱりだったが、お前は分かったんだよな」

キャノンの正社員が立ち去ると、アイラインの正社員は

大野らにこう念を押す。

これが偽造請負を撲滅した現場の実態である。

こうした裏技を使わず、正規の手続きをとると

「現場なら10分で済む手直しに3日かかる」と大野は言う。

「1日12時間、四六時中、顔を合わせて働いているのに

一言も口を利かない。一緒に飲みに行くのもダメ。

おかしいと思いませんか」

大野の同僚、佐藤誠次(33歳)はこう問いかける。

偽装請負への過剰反応が冷え切った人間関係を生んでいるのだ。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第4回

しかし、2004年に入ると状況が一変した。

キャノン本社が「現場にトヨタ生産方式を導入する」と宣言し、

この日を境にベテラン正社員が生産ラインから姿を消した。

「彼らはみんな偉くなって、カイゼン何とかと言う部署に上がっていった」(大野)。

現場に残った正社員は管理業務に専念し、

実作業には一切タッチしなくなった。

2005年5月、キャノンは大野たちとの

契約を請負から派遣に切り替えた。

2004年3月施行された改正労働者派遣法で、

製造現場への人材派遣が可能になったからだ。

正社員が請負社員に指示するのは違法だが、

派遣社員なら問題ない。

但し、はこの場合は1年以上雇用し続けると本人の希望を聞いて

正社員に登用しなくてはならない(現在は3年)。

「ひょっとしたら正社員になれるのか」大野らが

淡い期待を抱き始めた2006年5月、キャノンは契約を

再び請負に戻した。

そして10月、新聞報道などで偽装請負が社会問題化すると、

今度は大野たちがいる職場から正社員を全員引き上げた。

キャノンの正社員に代わって、現場を管理するようになったのは

アイラインの正社員。業務請負本来の姿になったわけだ。

丸投げですむ単純作業なら、これで問題はないはずだが、

高い技能が要求されるレンズ研磨はそうはいかない。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第3回

「バカやろう、余計なこと済んじゃねえ!」

2000年4月、請負社員としてキャノンに出勤した初日、

大野は正社員にいきなり怒鳴られた。

仕事の手順がわからず、手持無沙汰だったから、

床掃除でもしようかとモップを持ち出したところを見とがめられたのだ。

「いいか、ここでやってるのはすごく精密な仕事なんだ。

お前がそのモップで電源コードの1つでも抜いてみろ、

全部パーだ。掃除の仕方は後で教えるから、今日は黙って見てろ」

この日から徒弟制度を絵に描いたような特訓が始まった。

「つばが飛ぶからレンズの上で話をするな」

「レンズに傷がつく。腕時計は外してこい」

言いつけを破ると、工場の隅で説教された。

今にして思えば明々白々の偽装請負状態である。

だが、大野らにとって、そんなことはどうでも良かった

楽な仕事ではなかったが、自分たちを正社員と同じにあつかい

教育してくれるキャノンを大野は「すごくいい会社だと思った。」

レンズの研磨はデリケートな作業である。

研磨する時の温度は100分の1度の単位で管理しなくてはならない。

研磨剤の濃度やかける量、タイミングも状況に応じてかわる。

完璧に磨いたレンズを流し台で洗う時、

コツンとぶつけたら2000万円が水の泡だ。

検査工程も機械任せにできない。

1つのレンズを10台の測定器で計算すれば10通りの

結果が出るという。

測定器の誤差か、セットの仕方が悪いのか、

それとも本当にレンズが悪いのか。見極めるには経験が要る。

厳しい指導の下で、大野たちはそんな技能を着実に見につけていった。

それは、かつて日本の現場のどこにでもあった「伝承」の風景だ。

たた1つ違うのは、大野等が正社員ではないと言うことだった。

キャノンのベテラン正社員に鍛えられた大野たちは、

そのノウハウを新入りの正社員にも教えた。

「ちょっと気分がいいじゃないですか。俺らが正社員に教えるなんて」

法的には問題だらけだが、一体感と言う意味では文句の無い職場だった。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第2回

今年2月末のある日。午後9時30分、凍てつく寒さの中、

12時間の昼勤を終えた彼らが約束の場所に集まってきた。

宇都宮市清原工業団地の管理センター。

目の前に巨大なキャノンの工場がそびえ立つ。そこが彼らの職場である。

リーダーの名前は大野秀之(32歳)業務請負会社の

アイラインに登録し、キャノンの宇都宮光学機器事業所で

半導体露光装置(ステッパー)用の非球面レンズの研磨加工をしている。

このところ、彼らはちょっとした有名人である。

2006年12月に同じ職場の請負社員25人で労働組合

「キャノンユニオン・宇都宮」を結成。

支部長になった大野は今年2月、衆議院予算委員会の公聴会に招かれて

「偽装請負」の実態を訴えた。

請負社員の待遇改善は喫緊の課題である。

偽装請負は紛れもなく違法行為だ

しかし、大野は自分の身を案じているだけではない。

製造業の現場に身をおくものとして、もっと根源的な不安を感じている。

「このままでは日本のメーカーは、物が作れなくなるのではないか」

製造業の命である物作りを外部労働者に丸投げし、

自分たちは管理業務しかしないそんな正社員の集団である大企業が、

みるみる「抜け殻化」しているように見える。

この7年、キャノンの現場がどう変質していったか。

大野たちは克明に語ってくれた。

抜け殻正社員、派遣、請負依存経営のツケ・・・第1回

番組を作れないテレビ局、プログラムかかけないIT企業

気が付けば、日本中が

「正社員だけでは何もできない会社」だらけになった。

コスト削減を優先するあまり、多くの企業が陥った派遣・請負依存の構図

偽装・捏造・不具合が頻発するのは他人任せの「抜け殻」

正社員が増えたから。

非正社員の正社員科や高卒採用拡大の動きも、まだ付け焼刃の域を出ない。

短絡的な外部依存がどれだけ現場を退化させたか。

正社員のあなた、そしてあなたの会社は、それに気づいていますか。


請負又は業務委託と労働者派遣の判断基準について<その9>

秩序維持、服務規律、制服等をめぐって

<請負又は業務委託>
請負又は業務委託の場合、請負人の独立した仕事として

業務を遂行するもので、単に労働を提供し発注者の指揮命令に

ゆだねるものではないため、これを明白にするためには

機械設備等の自己提供、自己負担、又は独自の

企画や専門的な業務として行われることが必要てす。

請負は次のいずれかに該当するものであって労働力を

提供するものでないこととされています。


(1)自己の責任と負担で準備し、調達する機械、

設備若しくは器材(業務上必要な簡易な工具を除く)又は、

材料若しくは資材により、業務を処理すること注文者の所有する機械、

設備等を請負人が使用する場合には別途賃貸借契約を結び保守、

修理費用の負担等事業者としての独立性が必要。


(2)自ら行なう企画又は自己の有する専門的な技術若しくは

経験に基いて業務を処理すること。


これによると、(1)は機械、材料等の自己負担で、(2)は企業

としての独自の企画、ノウハウ、知識、技術、経験等による専門性で、

いずれも事業主としての独立性を明らかにするものであり、

(1)または、(2)のいずれかの要件を充足すればよい。

特に問題となる情報処理サービス業務の場合には、

発注者からコンピュータ等の機械・設備等を無償で提供を受け、

その作業場所も発注者の指定、提供する場所であることが多いため、

結局上記の(2)の事業主自身の企画又は専門的技術及び

経験に基いて処理する業務という要件を充足しなければならない。

なお、資材、器具等は、できるだけ請負人の所有又は購入

するものを用いて行なうようにすることが望ましい。


<労働者派遣>
派遣においては、派遣先の指揮命令に従い労働を提供するもので

機械、設備、資材、材料等は全て派遣先のものを使用します。

なお、これらを派遣労働者が過失で壊した場合には派遣先の

負担といえるが、故意や重大な過失で壊したという場合には、

派遣契約に基く正常な労働の提供といえないから、

派遣元がその一部を負担すべきものとなるでしょう。

また、使用方法と追う業務上の指揮監督は派遣先の権限であり、

また義務でもあって、派遣労働者は派遣先の指揮命令に従い、

全て派遣先のものを使用して派遣先の指揮命令の過失は

当然派遣先使用者の責任となります。

請負又は業務委託と労働者派遣の判断基準について<その8>

秩序維持、服務規律、制服等をめぐって

<請負又は業務委託>
請負や業務委託では、請負人が自己の責任と負担で

請負業務を処理する場所を設置するのが原則ですが、

請負や受託業務の性質上、これらの業務遂行場所を

発注者の指定場所や発注者の構内で行なったり、

発注差が提供する場所がありえるので、

場所の設置をいずれが行なうかは、請負か派遣かを

区別する上では主たる要件ではありません。

しかし、発注者の従業員の中に混じって全く同じ

業務を混在して行うという場合には、

業務上及び指揮命令上の独立性が失われるので行うべきではありません。

そこで、就業の場所はできるだけ明白に区別する必要があります。

但し、同じ部署や同じ室で作業する場合であっても、

業務が独立して別であれば、混在には該当しないし、

それが客観的に区分されて請負人側の責任者の

管理下にあることが確立されているならばよいでしょう。

また、業務場所を発注者が提供する場合には、

それを特定し、かつ、原則として有償とし、

独立した事業主として注文者の第2人事部的なものでないことを

明白にし、かつそれを書面契約化しておくなど場所の占有。

使用権限を明白にしておく必要があります。

これらの場所的要件は請負や業務委託の成立要件ではありませんが、

そのような定めをすることは請負人としての独立性の1つの表れであり、

発注者の指揮命令下に発注者のために

直接労働しているのではないという外部的区分による事業としての

別個・独立性の表徴です。




<労働者派遣>
派遣の場合は、派遣契約において派遣就業場所として

所在地、事業所名、所属部署等まで具体的に特定することが

要件とされています。そこで、派遣先の所定の就業場所において

就業中の労働を直接指揮命令する者の

部署、役職、氏名(派遣先指揮命令者)も定めることが要求されています。

したがって、全面的に派遣先との契約において

定めた場所において派遣先の指揮命令により就業するものです。

そこで、派遣先の従業員と混在することも多いが、

これを全く差し支えありません。

請負又は業務委託と労働者派遣の判断基準について<その7>

秩序維持、服務規律、制服等をめぐって

<請負又は業務委託>
請負及び業務委託の場合は、事故の従業員を自社が

直接指揮監督するのですから、就業に当たっての

規律や秩序の維持権限及びその違反についての

是正のための懲戒権限は、当然請負人側にあります。

しかしながら、請負業務等が発注者の事業所や

工場内で行われる場合には、施設管理、災害事故防止、警備や

機密保持上の理由から処置の拘束を受けることは

やむをえないのであるが、その遵守義務を負うのは

あくまでも請負人側であり、発注者側の担当者が直接これらの

指揮監督(場所的管理は発注者側)をしてはいけません。

したがって、発注者側の入退場管理上の必要性から

受託者や請負人の従業員の指名、性別等を通知し、

発注者子弟の名札を付け、若しくは入退場証の交付を受け、

あるいは、それを装着することは、請負や業務委託と

矛盾するものではありません。

また、発注者側の施設管理上の理由や安全衛生管理、秩序保持、

場内管理、秘密保持等の必要から、

請負人や受託者の従業員に発注者指定のユニフォーム等の

着用を求めるケースもあります。

発注者指定の制服やユニフォームを着用させているからといって

請負や業務委託にならないとはいえません。

ただし、全く発注者側と同じというよりは着用する帽子の色、

ユニフォームのマーク、名札の種類等何らかの管理縦横の

識別ないし区分表示があったほうが良いでしょう。

「告示」では、請負は次のいずれにも該当することにより、

起業における秩序の維持、確保等のための指示

その他の管理を自ら行うものであることとされています。

(1)労働者の服務上の規律に関する事項についての指示その他の管理を自ら行うこと

(2)労働者の配置等の決定及び変更を自ら行うこと担当業務の決定、

勤務半の変更、当番表(勤務表)の作成など全て請負人側で行なうこと。




<労働者派遣>
派遣の場合は、派遣労働者は派遣先の従業員という

身分は取得しないものの、派遣先の業務上の識見には全面的に

福祉、派遣先において入場から退場までの一切の支配拘束下に入るので、

企業秩序の維持、職場の含む規律、守秘義務等については、

派遣先従業員と同じような立場で拘束を受けます。

しかし、これらの拘束を受けるのは派遣契約において

定められているからであり、

したがって、派遣契約ではこれらに関し定めておく必要があります。

そのため、これらの拘束に関する派遣契約の定めに

違反するような労働提供に対する懲戒処分権限は、

派遣契約の趣旨に反する労働の提供に対するものとなるから

派遣契約の履行責任を有する派遣元にある。

派遣先としては、派遣元に適正な労働を提供するような催告し、

場合によっては個別派遣契約の解除をなしえる。

職場秩序や安全衛生についての教育等は業務指揮の内容として

派遣先でも行なうことになり、

職場秩序や安全保持上の責任は派遣先が負います。

請負又は業務委託と労働者派遣の判断基準について<その3>

1.第三者使用の可否について

<請負又は業務委託>
請負は、注文者から請け負った仕事を自分で完成させることなく、

さらに第三者に下請けさっせて完成させることも差し支えなく、

民法上は原則としてこれが許されています。

しかし、建設業などでは、際した受け等につき

注文者の承諾があることが要件とされており、

他にもこのようなケースが多く、

したがってこれが絶対要件ではありません。

委託の場合は、原則として自ら業務処理を行なうことを本旨とするが、

委託者の承諾があれば第三者委託が許されます。

なお、いずれの場合も、履行補助者を用いて仕事をさせることは

差し支えありません。

むしろ偽装派遣の問題を避けるためには第三者の使用や

履行補助者の使用をできるだけ許すこととしておいたほうが

良いでしょう。

また、個人情報保護法上は、個人情報取扱の委託に該当し、

委託契約に基く安全管理措置及び委託先の監督の

規定の適用を受けます。



<労働者派遣>
派遣の場合も、派遣先との関係では一身専属契約ではなく、

人数と業務処理能力さえあれば事前に派遣労働者を特定することは

要しません。(派遣先が特定することは禁止されています。)が

労働者派遣に当たっては「当該派遣に係る労働者の氏名」を

通知しなければなりません。

したがって通知に係る労働者の派遣が目的であり、

そのもの以外の履行補助者とか第三者の使用は許されません。

派遣労働者の欠勤や休暇の場合には派遣契約に定めるところにより

代替者の派遣を派遣元のの責任において派遣先の承認を得て行う

必要があります。

労働者派遣は、あくまでも労働力を提供し、

指揮命令にゆだねるもので、

そのため個人情報保護法上は派遣先の「従業者」としての

監督の対象となります。

請負又は業務委託と労働者派遣の判断基準について<その2>

1.瑕疵担保責任について

<請負又は業務委託>
請負においては、仕事の完成義務を追うため、

仕事の結果に瑕疵があるときは、請負人はこれに対し補修、

損害賠償の担保責任を負うことが当然の義務となります。

業務委託においては、善良な管理者の注意を持って

業務処理をすればよく、結果に対して瑕疵担保責任はありません。

この注意義務を怠り、委託の本旨に従った業務の処理が

行われなかったとすれば債務不履行責任を負います。



<労働者派遣>
派遣においては、派遣労働者は派遣先の指揮命令(労務指揮)に

したがって派遣先の労働に従事すれば足り、

派遣元は仕事の結果に対する瑕疵担保責任や結果に対する

債務不履行責任を負いません。

ただし、派遣契約違反の労働提供の責任は派遣元が負い、

労働者の懲戒処分件は派遣先にはなく、

派遣先の指揮命令は単なる業務上の指揮命令にとどまり、

懲戒、教育権限等は派遣元にあります。

請負又は業務委託と労働者派遣の判断基準について<その1>

1.業務目的・内容について

<請負又は業務委託>
請負とは当事者の一方である請負人がある仕事を関してすることを

約して、相手方である発注者がその仕事の結果に対して

報酬を与えることを約する契約です。

請負と雇用の区別は、雇用が労働に服すること事態を

目的とするのに対して、請負は労務の成果たる仕事の完成を目的とし、

その結果、一般的には、雇用では労働に服しさえすれば

労働の成果の如何を問わず報酬がもらえるのに対して、

請負では仕事が完成した場合にのみ報酬が貰えるので、

労務に服しても仕事の完成を見ないときには報酬はもらえません。

すなわち、請負の場合には、請負人が仕事の完成についての

危険を負担します。

請負人が一定の仕事を完成する義務と責任を負っており、

また、仕事の完成とは、有形無形を問わず、要するにある業務の目的の

完成ないし完了がなされることを言います。

業務委託とは、民法の準委任と同じかこれに類するもので、

発注者が一定の業務処理を委任し、受託者がこれを承諾して、

委任の本旨に従い自己の相当程度の自由裁量に従い自己の

責任で善良な管理者の注意義務を持って当該業務を処理するもので、

その業務処理の対価として報酬が支払われます。

この為、請負と違い業務委託契約は、仕事(業務)の完成責任を

負うものではなく、又成果物を伴わなければならないものでもなく、

契約目的に従った業務の責任処理の完了が中心です。



<労働者派遣>
自己の雇用する労働者を他人の指揮命令を受けて

他人のために労働に従事させること

(他人に雇用されることを約してするものを含まない)をいいます。

「他人の為に労働に従事させる」とは、

労働への従事に伴って生ずる利益が指揮命令を行う他人に

直接に帰属するような形態で行われるものをいいます。

したがって、事業主が、自己の雇用する労働者を

指揮命令する方法の一つとして、他人に委託したとしても、

他人が委託した事業主の利益のために行う場合には、

労働者派遣には該当しません。労働者派遣の業務内容は

派遣契約において定められますが、仕事(業務)の

完成の責任を負うものではなく、

派遣先の指揮命令に従って派遣先業務に従事することをもって足ります。

したがって、業務の処理が行われなくても

派遣契約に定める労働の提供さえすれば責務の

履行があったことになります。

独立時業者と認められる為の要件


@注文事業者から指揮命令をされない独自の自由裁量権と

 履行責任及び事業主としての危険負担を持って業務を

 遂行するものであること。


Aその為には外形上も自宅等で独立オフィスを持つものであるか、

 委託(注文)会社の構内や発注者のオフィス内でのみ

 業務を行うものの場合には、発注者の構内やオフィス内において

 区画等のなされた外形上独立した場所での業務遂行が明白と

 されるものであること。


B自己の責任で業務を独立処理し、その不履行等について

 自ら損害賠償責任を負うものであること。

 なお、原則として注文者の請負、業務委託に係る業務との

 競業を行なうことは禁止されているとしても、

 他の業務との兼業は禁止されていないこと

(兼業禁止の拘束が及ぶと事業の独立性が否定的となり、

 労働者性が強くなる。)


C注文者の事業場への定時の出社、始業、終業時刻等の拘束を

 原則として受けず、業務上の連絡、報告等の義務付けがっても

 勤務時間的な拘束がないこと。


D遅刻、欠勤等について懲戒処分等の不利益を受けないことはもとより、

 遅刻、欠勤等について対応した請負代金等の減額を受けないこと

(業務処理の不履行や遅延としての損害賠償義務を負うとしても、

 時間対応の減額であってはならない。)


E朝礼等への出席の義務付けがなく、服装、タイムレコーダー、

 出欠報告等の就業管理的な拘束のないこと。

 但し、安全衛生やセキュリティ管理上の拘束ならば差し支えないこと。


F日々の業務の成果について納品書的な業務処理報告や成果物の検査、

 されに一定期間後との委託業務の処理報告や業務の処理結果の検収、

 評価は受けても、使用従属的な業務命令下

(日々の仕事について発注者より指揮命令を受け、

 業務を遂行している状況)にはないこと。


G注文事業者より服務規律、業務秩序等について

 指揮命令的な拘束を受けていないこと。

 但し、機密保持や安全衛生上の管理拘束については差し支えないこと。


H最低業務日数、訪問日数、営業成績等について

 注文指図や合意として定めることは差し支えないが、

 あくまでもそれは指示命令的なものではなく、

 請負、注文目的の数量、品質等として定められ、

 その達成は対等の立場における契約内容としての債権債務と

 認識されているものであること。


I請負、業務処理の内容が注文書、仕様書といった注文指図によって

 独立遂行が明白で、具体的な業務の遂行について

 直接指揮命令を受けないこと

(日常の追加、変更の注文も、できるだけ注文伝票といった

 書面によること。)


J請負、受託業務の遂行について自己に代わって第三者を

 使用することの有無が定められ、

 できればこれが禁止されていないこと。

 但し、特別な技能、能力、信頼性、素養、管制塔が必要な

 業務についてはこの限りでないこと。すなわち個人の力量、

 特性に着目して注文契約内容が定められていること。

 なお、最近は守秘義務、機密保持(個人情報の保護を含む)の観点から

 第三者使用禁止は差し支えないないとされていること。


K給与として源泉徴収は受けず、事業者として報酬(経費込み)を受け、

 費用を負担し、その報酬の程度から見ても独立時業者と

 認められるもので、事業所等としての税務申告を行うなど

 対外的にも独立業務事業者として手続きをしていること。

注文者側の指揮命令を受ける場合は「労働者派遣」

個人事業者とされていても、前に述べたような「基準」に該当せず、

業務委託契約といっても実態上独立性がなく、その内容は、

作業を中心とする労働の提供的なものであり、

具体的に処理し、完了すべき業務の内容が注文書、

仕様書といったもので具体的に定められておらず、

独立して業務を処理する実態ではなく、

委託者の指揮命令を受けて業務を遂行するに過ぎない場合には、

実質的には労働者派遣に該当します。

労働者派遣に該当すると認められる場合には、

名目は個人事業主ととしての請負や業務委託であっても、

実質は派遣となり違法な形態となります。

職安法第44条の労働者供給事業に該当することになって

委託者(注文者)も受託事業者(供給側)も供に

処罰を受ける恐れがあるというリスクを負います。

自己の事業として独立処理をするものであること

<報酬決定の独立性>
自己の個人事業主として立場から注文業務の処理についての

対価を注文者側と協議して決定するものであること

(業務の受注の諾否について自己決定権があり、

 注文指図により受諾する義務を負っていたり、拒否すると

 懲戒処分を受けたりするものでないこと)

また、報酬額は労働の対価として決定されるものでなく、

独立自営者としての企画、技術、能力、実績、経験等から

注者処理に係る業務の完了の対価として決定されるもの

(賃金に該当するものではない)であること。



<法律上の独立性>
民法、商法その他の法律上の事業主責任を負い自ら

請負業務を遂行するものであること。

その為には当該請負や業務委託の対象業務が独立処理得るもので

なければならず、委託者の指揮命令によらなければ

処理できないものであってはならない。

(注文書、仕様書等により独立処理しえる内容が明白となっている

 必要がある)こと。



<業務上の独立性>
1.機械、設備機材等の自己調達等により業務を

処理するものであること。

個人事業主として業務を独立処理することが要件であり、

委託者の機械、設備、機材等を利用して製品を作成したり、

サービスを提供するというのでは単に労働の提供であって

業務の独立処理に該当しない、

そこで、これらの機械、設備、機材等について注文仕様や

企業秘密等の関係から注文者のものを使用する必要がある場合には、

機械等について賃貸借契約を結び、費消部品、機材等については

有償で購入する等事業としての独立性を経理面でも備えている

必要があります。


2.個人事業主として自ら行なう企画、自己の有する専門的な技術、

能力又は水から有する経験、ノウハウ、資格、免許等に基いて

自己の業務として独立遂行するものであること。

個人業務委託契約により独立自営業者として業務を遂行するケースは、

このパターンの場合が多いと思われる。

このような専門性が高度であったり、

法定の有資格者業務の場合には、比較的個人請負、個人業務受託者として

認められやすいと思われる。

委託者からも受託事業者からも独立し、使用従属関係に立たないこと

<1>業務管理上の独立性
1.直接自ら業務の遂行方法の決定を行うこと。但し、

注文書、仕様書等に基づく注文指示については

当然その内容に従って処理し、業務を自らの責任で完成(完了)

しなければなりません。


2.直接自ら業務遂行の評価等を行なうこと。注文書、

仕様書等に基く仕事の出来栄えを注文者が検収する事は請負や

業務委託契約に伴う納品であるから差し支えありません。

又、業務が完了してからでは注文指示と地学か田舎の検査・検収が

できなかったり、完了後では手直しに多大な費用、労力を要するといった

場合には、その都度検査・監督受けることも差し支えありません。


3.委託者の労働者や派遣労働者と同一業務を混在して行うもので

ないこと。委託者の事業所内で混在業務従事者の一員として

委託者の担当者等の指揮命令を受けるものであってはなりません。


<2>労働時間管理上の独立性
1.始・終行事国、休憩、休日、休暇等について管理、拘束を

受けないことしたがって、受託事業者の就業規則の適用や委託者の

就業時間管理を受けない立場にあること。

なお、委託者の事業場やオフィス管理といった施設管理上や

セキュリティ管理上定められた入退館時間、

休日のオフィス使用管理等の拘束を受けることは差し支えありません。


2.時間外、休日労働の命令等を受けないこと。

所定の注文業務の納入期日に間に合わないといった場合も、

自らの裁量により在社時間を延長するといった措置を自ら決定し、

委託者等からの指示、命令等は受けないものであること


<3>秩序の維持、確保、人事管理上の独立性
1.委託者の従業員のような拘束を受けないこと。

ただし、委託者の場所的な施設管理上の拘束を受け、

その規制に従うことや委託者の機密の保持管理の定めに

従うことは当然であって差し支えありません。


2.委託者の従業員的なスケジュール管理や勤務表による

使用従属的な拘束を受けないこと

注文業務の処理のスケジュールについては自ら計画、決定し、

あるいは注文指図書等に従い自ら完全な履行が可能なように

業務処理の日程を委託者と協議の上作成し、届け出るものであること。

個人業務受託者は独立事業主か

「労働者派遣と請負との区分基準」は、

請負事業者が法人等の団体であり自己が労働者を雇用して

請負や受託業務を自社の業務として独立遂行する

場合の基準となっている。

しかしながら、労働者派遣類似の業務委託のパターンでは、

個人請負や個人業務受託者といわれる者も多く就業しており、

例えば「儲かる会社は業務委託契約でリスク無く人材を活用する」
(吉本俊樹&BMCネットワーク著・明日香出版社)では、

個人事業者、インディペンデント・コントラクター、

独立請負契約が推奨されている。そして、

「業務委託契約」においては、「労働者ではなく、

労働基準法の適用が無く、労働保険、社会保険(厚生年金保険・健康保険)

に加入しない個人事業主である業務委託契約社員であることを

契約書と誓約書にて契約者に明らかにして置いてください」と

述べられています。しかしながら、個人業務委託契約者として、

労働者でなく、独立自営業者として、

当該業務の受託事業者と業務委託契約を結んで、

当該業務委託契約に基いて委託者と受託事業者との間の

業務委託契約の履行として、独立性が認められるのは、

実態上も前記「告示」の基準に合致するものでなければなりません。

そのためには発注者と個人事業者との間で注文書及び仕様書等で

具体的に注文の仕事の完成や業務の独立処理すべき内容が明白で、

いちいち発注者から指示を受けるものであってはなりません。

あくまでも請負や業務委託と認められるためには「告示」の基準に準じた

個人自営業者としての独立性が認められるものでなければなりません。

その為には受託事業者からも委託者からも具体的な

指揮命令を受けるものであってはならない。

労働者派遣と請負との区分基準のポイント

<労務管理上の独立性>
自己の雇用労働者の労働の直接利用

(1)業務管理上の独立性

1.直接自ら業務の遂行方法の指示等を行うこと。

2.直接自ら業務遂行の評価等を行なうこと。


(2)労働時間管理上の独立性

1.始・終業時刻、休憩、休日、休暇等の指示、管理を自ら行うこと

2.時間外・休日労働の命令等を自ら行い管理すること


(3)秩序の維持、確保、人事管理上の独立性

1.自ら服務規律の設定、指示、管理を行うこと

2.自ら労働者の配置等の決定・変更を行なうこと。


<事業経営上の独立性>
事故の事業としての独立処理

(1)経理上の独立性
自己責任による資金の調達、支弁

(2)法律上の独立性
民法・商法その他の法律上の事業主責任の遂行

(3)業務上の独立性
1.機械・設備・機材等の自己調達等

2.企画・技術・経験上の自己独立遂行性のいずれか


したがって、労務管理上の独立性と事業経営上の独立性という

両者の要件の充足が請負と認められるためには必要です。

労働者派遣と請負との区分「基準」は

政府は、立法当者定めた「労働者派遣と請負との区分基準」の告示はそのままとして、具体的な基準の運用について「業務取扱要領」をもって、その適正な実施と定着を図ることとしましたが「告示」及び「運用基準」は、以下のとおりとなっています。

1.<区分基準の目的>

第1条:
この基準は労働者派遣事業の適正な運営の確保及び

派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴い、

法の適正な運用を確保するためには労働者派遣事業に該当するか否かの

判断を適格に行う必要があることにかんがみ、

労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分を明らかに

することを目的とする。



第2条:
請負の形式による契約により行う業務に

自己の雇用する労働者を従事させることを業として行う

事業主であっても、当該事業主が当該業務の処理に関し

次の各号のいずれにも該当する場合を除き、

労働者派遣事業を行う事業主とする。

(1)労働者に対する業務の遂行方法に関する指示

   その他の管理を自ら行うこと。



3.業務遂行の評価の管理

(2)労働者の業務の遂行に関する評価等に関る指示

   その他の管理を自ら行なうこと。


4.労働時間の管理

次の1及び2のいずれにも該当することにより

労働時間等に関する指示その他の管理を自ら行うものであること。

(1)労働者の始業及び就業の時刻、休憩時間、休日、休暇等に

   関する指示そのほかの管理(これらの単なる把握は除く。)を

   自ら行なうこと。


5.時間外・休日労働の管理

(2)労働者の労働時間を延長する場合

   又は労働者を休日に労働させる場合における指示そのほかの管理
   (これらの場合における労働時間等の単なる把握を除く)

   を自ら行なうこと


6.企業秩序、服務規律の管理

次の1及び2のいずれにも該当することにより企業における

秩序の維持、確保等のための指示その他の管理を自ら行うものであること。

(1)労働者の服務上の規律に関する事項についての指示

   その他の管理を自ら行うこと。


7.労働者の配置等の管理

(2)労働者の配置等の決定及び変更を自ら行なうこと。



8.業務処理の独立性と責任

次の1、2及び3のいずれにも該当することにより

請負契約により請け負った業務を自己の業務として

当該契約の相手方から独立して処理するものであること。

(1)業務の処理に要する資金につき、全て自らの責任の元に調達し、

   かつ、支弁するうこと。

(2)業務の処理について、民法、商法その他の法律に

   規定された事業主としての全ての責任を請け負うこと。


9.機械・設備・資材の調達

(3)次のいずれかに該当するものであって、

単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。

自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備若しくは

機材又は材料若しくは資材により、業務を処理すること。



10.専門性

(2)自ら行なう企画又は自己の有する専門的な

   技術若しくは経験に基いて、業務を処理すること。


11.偽装・脱法

第3条前条各号のいずれにもが該当する事業主であっても、

それが法の規定に違反することを免れるため故意に偽装された

ものであって、その事業の真の目的が法第2条第1号に規定する

労働者派遣を業として行なうことにあるときは、

労働者派遣事業を行う事業主であることを免れることができない。

請負事業と認められる要件

いわゆる偽装請負との区分は、

請負(業務委託等を含む)によって事業が行われる場合には、

それが、適正なものであれば労働者派遣に

該当しないので問題はありません。

しかし、現実には請負と称されていても実態は労働者派遣に

該当するものもありその区分が判然としない現実があります。

そこで、政府は、昭和61年4月17日付をもって

「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」を

示し要件の全てを充足しなければ請負とは認めず、

労働者派遣事業を行うものとした。

しかしながら、平成11年の改正法を審議した

国会で頻繁に偽装請負の問題が議論され、

当時の労働省も偽装請負への対応の強化について答弁しています。

そして、これに基き「業務取扱要領」にって「告示」の

基準をさらに具体的に運用していく基準や留意点が定められました。

参考:守秘義務誓約書

          <守秘義務誓約書文章例>

この度私は派遣もとの(株)○○より貴社に派遣され、貴社において労働者派遣個別契約に定める業務に従事するに当たりまして、下記のとおり確認し、誓約いたします。

                記

1.貴社のお役様、お取引先関係者及びその家族並びに貴社の役員、

  従業員その家族等の関係者の個人情報で、業務上取扱又は知りえた

  事項(個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、

  生年月日、住所、電話番号その他の記述等により特定の個人を

  識別することができるもの。なお、他の情報と容易に照合することが

  でき、それにより特定の個人を識別することができるものを含む)

  について、不当に漏洩し、開示し、又は不正に利用する当は一切

  いたしません。


2.貴社並びにお客様、お取引先等に関し業務上知りえた営業秘密

  (経営、営業、精算、企画、財務、経理、人事、開発、研究、

   宣伝その他の企業情報を言う。)について、不当に漏洩し、

   開示し、又は不正に利用する当は一切いたしません。


3.貴社の文書、記録、情報(電子データパスワード等を含む)、

  帳簿等(企業情報のみならず個人情報も含む。)について、

  貴社の許可なく就業場所の外に持ち出すことはいたしません。


4.貴社の許可なくしようの電算機、磁気ディスク、

  その他記録装置等を就業場所に持ち込むことはいたしません。


5.貴社から業務上受領した個人情報、企業情報を含む資料について、

  貴社の事前の承諾のない限り複製物を作成し、又は加工するような

  ことはいたしません。


6.貴社から業務上受領した個人情報、企業情報を含む資料

 (当該資料の複製物を含む)はその資料を用いて行うべき業務が

  終了した時、又は貴社より返却すべき旨の通知を受けたときは、

  直ちに返却いたします。


7.貴社の派遣先指揮命令者又はそれに代わる上司、担当者等の

  許可なく就業時間中に使用通話、使用通信等を行なうようなことは

  いたしません。


8.貴社の許可なく貴社の通信、情報機器、電算機その他の

  情報システムを使用に用いることはいたしません。


9.貴社の情報管理のために行う必要な関し。調査についてはこれを

  承諾し、又必要に応じ協力し、これらの検査及び調査には応じます。


10.上記の各情報の漏洩、開示若しくは不正な利用等が発生した

   場合又はお客様その他関係者から異議、通報等のあった場合には、

   直ちに貴社派遣先責任者又はそれに代わる上司。担当者に報告、

   連絡の上、その指示等に従います。


11.第1項及び第2項の守秘義務等は、本件派遣契約が終了した後も

   遵守いたします。


12.本件派遣契約が愁傷利他場合には、上記各情報に関し全ての

   資料記録、データ等を貴社に返却し、又は貴社の承諾を得て

   破棄し、その結果を検収頂くと共に、その旨の認誓約書の作成に

   からかじめ同意いたします。


13.万一本件制約に反し、不当な漏洩、開示又は不正な利用等を行い、

   若しくは私の重大な過失によって漏洩等の結果を生じ、

   貴社に損害をおかけいたしました時は、

   その損害の賠償をいたします。

個人情報取扱事業者の義務

個人情報保護法に基く、個人情報取扱事業者の義務の概要は、次のとおりです。

@個人情報取扱事業者はまず、その取り扱う個人情報については

その利用目的をできる限り特定し、その利用目的の達成に必要な

範囲内で取り扱わなければなりません。

又、事業者は、個人情報を偽りその他不正な手段により

取得することを禁じられています。

個人情報が本人の全く知りえない状態で取得された場合にも、

個人の権利利益が侵害される恐れが大きいため、個人情報を取得した

場合は、利益目定期を本人に対して通知し、

又は公表しなければなりません。


A個人譲歩取扱事業者は、個人データについて、

利益目的の達成に必要な範囲内で正確かつ最新の内容に保つよう

努めるべきで、安全管理の為に必要な措置、

従業員や業務委託先に対する必要な監督が義務付けられています。

また、事業者は、原則として本人の同意を得ずに、

個人データを第三者に提供してはいけません。


B個人情報取扱事業者が、開示、内容の訂正、追加又は削除、

利用の停止、消去及び第三者への提供の停止の全てを行うことが

出来る権限を有する「個人データ」を「保有個人データ」といいかかる

権限を有する保有個人データの取り扱いについて、

本人が適切に関与できるように配慮しているものです。

すなわち、個人情報取扱業者は、保有個人データに関して、

本人から求めれ応じて、利益目的の通知、開示、訂正、利用停止等を

行なうことが求められます。また、開示手続き手数料についても

規定され、さらに苦情の適切かつ迅速な処理と、

そのために必要な苦情相談窓口の設置等の体制整備に

努めなければならない努力義務も化せられています。

労働者派遣と請負・業務委託との差異<個人情報取扱事業者>


個人情報の適正な取扱いと個人データの不当な漏洩、

滅失または棄損その他を防止し、

個人情報の有用性と個人の権利利益の保護を目的として

「個人情報の保護に関する法律」が平成15年に制定され、

平成17年4月1日より全面的に施行されました。

この法律において「個人情報」とは「生存する個人に関する情報で

あって当該情報に含まれる氏名、生年月日その他記述等により

特定の個人を識別することができるもの

(他の情報と容易照合することができそれにより特定の個人を

識別することができることとなるものを含む)をいう。」とされ、

この「個人情報に関する情報」は、氏名、性別、生年月日等個人を

識別する方法に限られず、個人の身体、財産、職位、肩書き等の

属性に関して、事実、判断、評価を表わす全ての情報であり、

評価情報、公刊物等によって公にされている情報や、映像、音声による

情報も含まれ、暗号化されているかどうかを問いません。

又、「生存する個人」には、日本国民に限られず、

外国人も含まれますが、法人その他の団体は「個人」に該当しないため、

法人等の団体に関する情報は含まれません。

この法律の対象となる「「個人情報データベース等」とは、

個人情報を含む情報の集合物で、特定の個人情報をコンピュータを

用いて検索することができるように体系的に構成した、

個人情報を含む情報の集合物、又はコンピュータを用いていない

場合であっても、カルテや指導要録等、紙面で処理した

個人情報を一定の規制に従って整理・分類し、特定の

個人情報を容易に間作することができるよう、

目次、索引、符号等を付し、

他人によって容易に検索可能な状態においているものを言います。

そして、この法律が適用される事業者である

個人情報データベース等を事業のように供しているものを

「個人情報取扱事業者」といい、

その事業の用に供する個人情報データベース等を構成する

個人情報によって識別される特定の個人の数、

の合計が過去6ヶ月以内のいずれの日においても

5000人を超えるものとされています。

(国の機関、地方公共団体・独立行政法人等を除く)

5000人を超えるか否かは、当該事業者の管理する

全ての個人情報データベース等を構成する個人情報によって

識別される特定の個人の数の総和により判断します。

ただし、同一個人の重複分は除きます。

個人情報保護法はこの個人情報取扱事業者に適用されます。

偽装請負では安全配慮義務は注文者企業に

派遣労働者が業務上災害により被災した場合、

使用者は、それが安全装置の不備や機械器具の欠陥

その他安全管理の過失に基づくものである場合や、

適切な安全管理上の指揮命令がなされなかった等という

原因による場合には、労災保険の給付のみならず、

その過失や欠陥や安全管理上の不備について、

いわゆる安全配慮義務違反や不法行為(使用者責任)と

慰謝料を含む労働災害の損害を賠償しなければならないことにもなります。

この点についてはケース・バイ・ケースで事案によりますが、

一応次のようにいえます。

業務上の災害の危険から労働者の生命・身体、健康を保護して

使用することは抽象的義務は雇用主にあるとはいえ、

労働者を実際に指揮命令し、機械、施設、器具等を

提供して使用するのは派遣先事業主です。

この為派遣法第3章第4節の

「労働基準法等の適用に関する特例等」において

「労働者がその事業における派遣就業の為に派遣されている

派遣先の事業に関しては、当該派遣先の事業を行うものを

使用する事業者と、当該派遣中の労働者を当該派遣先の事業を

行うものに使用される労働者とみなして」労働者の危険又は

健康障害を防止するための措置等を適用するとされています。

具体的な派遣先の作業についての危険・有害の防止措置義務は

派遣先にあり、派遣もとの事業者に関しては、

「当該派遣元の事業の事業者は、当該派遣中の労働者を

使用しないものと、当該派遣中の労働者は当該派遣元の

事業者に使用されないものとみなす。」との特例が定められ、

派遣元には当該規定を適用しないことになっています。

派遣先の安全衛生管理の不備、欠陥に基く派遣労働者の

労働災害については、その防止義務を負う派遣先に

損害賠償責任があると考えられ、

この面において前記のとおり労働災害の補償」と「賠償」が

分離されているといえます。

労災保険関係は派遣元である請負事業者

労働者派遣関係は、「雇用」と「使用」の

分離といわれていますが、業務上災害が発生した場合の

責任問題をめぐっても「補償」と「賠償」の分離と言う事がいえます。

それは労基法により労災補償義務は派遣労働者の雇用主である

派遣元にあり、民事法上の安全配慮義務は、安全衛生管理に

ついてみなし使用者となる派遣先において発生すると

考えられるからです。

派遣労働者は、登録型であれ、常用型であれ、派遣元事業主との

雇用契約に基き派遣元事業主に雇用され、

派遣元事業主の業務命令により、派遣先の事業場へ派遣され、

派遣先事業主の指揮命令を受けて就業します。

このような法律関係の場合、災害補償責任を負う事業主は、

派遣元事業主又は派遣先事業主のいずれかが問題となります。

この点について、派遣法においては、労基法第8章

(第75条から第88条)についても、

労働者災害補償保険法(労災保険法)の適用についても、

特例措置は定められていません。

これらの災害補償は、雇用主である派遣元事業主の責任となります。

この点については、業務上の負傷、疾病に関る解雇制限の規定

(労基法第19条第1項)あるいは退職による補償を受ける権利の

不変更の規定(労基法第83条第1項)は、雇用契約関係の

当事者である派遣元事業主に災害補償責任のあることを

前提としていると考えられるので、

このため特例が設けられなかったということは、

災害補償責任については、派遣元事業主に

あることになるとされています。

さらに、災害補償のうち「休業補償」「遺族補償」「障害補償」等は

就労による賃金についての稼得金額のてん補を目的とするものであり、

賃金に代替する性格のものであることから、

賃金支払義務者である派遣元事業主が、

この面から言っても災害補償責任を負うことが正当といえます。

また、同様に請負事業者の場合も労災補償義務および

労働保険関係の適用事業主は、

当該労働者を雇用する請負事業者となります。

(建設業については、元請一括加入の特例があるが、

 建設現場の直接作業者の労働者派遣は認められていない。)

これは、構内請負における作業請負といった形態の場合も同様にあって、

労災保険関係は原則として、保険事業の性質上雇用契約関係に着目して

雇用主である請負人が「労働者を使用する事業」となり

同保険の適用事業主と定められています。

偽装請負と安全管理体制の問題について

物の製造の業務への労働者派遣が可能とされるに伴い、

安全衛生の徹底を図り、派遣労働者の適正な就業を確保するため、

派遣元、派遣先双方において、派遣労働者の雇用管理体制を充実させ、

派遣労働者の安全衛生管理の強化を図る措置等が

平成16年3月施行の改正で追加されました。

そして、適法な労働者派遣と適法な請負・業務委託の場合には、

安全管理体制については、明白な相異があります、

それがいわゆる偽装請負状態が生ずると、

実質的な労働者派遣とみなされて安衛法の安全管理責任は、

発注者企業が負わなければならないことになります。

最近マスコミをにぎわしている。労働者派遣と偽装装請負をめぐる問題について

企業社会においては、

形式上は請負契約や業務委託契約となっていますが、

実態上は注文者が請負人の労働者を直接指揮監督しており、

請負や業務委託といっても労働者だけを派遣して、

注文者の使用に委ねているだけというケースがよく見受けられます。

これは、請負契約といってもその実態は請負人は

独立して仕事の完成に当たっているとは認められず、

業務委託契約といっても受託事業主の直接の

労務指揮下において受託業務を独立して処理するものとは

現実に認められず、

実質的には注文者の直接的な指揮命令を受けて、

注文者のための仕事に従事しているもので、

実態上は労働者派遣であり請負や業務委託を偽装した

違法派遣となります。

また、その典型的なものとして注文者側の事業場やオフィス内で、

注文者側の従業員と請負事業者や受託時業者側の従業員が

同一場所の同一業務に混在して就業しており、

その指揮監督やスケジュール管理も注文者側の社員が

行っているというケースがあります。

請負や業務委託のポイントは、請負人側の業務の

独立処理にあり、労務・人事・業務・秩序・時間管理上

注文者側から独立していなければならない点です。

これらの独立性を欠くと正当な労働者派遣の要件を

充足しない場合には、もともと労働者派遣形態は

実質上全て労働者供給事業に該当するので

労働者供給事業の違反となり、請負人側も注文者側も両者とも

処罰されます。

一般に、アウトソーシングにあたり、

契約名義さえ「請負契約」などとすればそれで

「請負」となり労働法上は問題ないといったように

思われていますがそうではありません。

請負その他のアウトソーシングにあたっては、

法律上も実態上も名実ともに適法な「請負」等と

認められるものでなければならない。

なぜ「偽装請負」をするのか?<請負、業務委託は>

請負や業務委託は、注文者や委託者の労務指揮(指揮命令)は

一切受けず、雇用主である自社のみの指揮命令を受け、

自社の業務として自社の労務指揮下に、

自社の為に、請負先(受託先)で就労するものです。

相手先企業の指揮命令を全く受けない点において

労働者派遣と明白に区分されます。

すなわち、請負・業務委託とは労務使用形態として

「雇用主」と「使用主」が一致している通常の形態を言います。

請負業務委託の場合の安全管理責任については、

それぞれ適法な請負等であれば請負や受託業務の

遂行場所が発注者の工場構内であっても、

その業務を請け負う労働者の雇用主と使用主は

請負受託事業者自体であり「雇用と使用が一致」するので、

職場(現場)における安全管理体制を含め

その一切の安全管理責任は雇用主(事業者)である

請負事業主がその措置義務者となります。

適法な請負と認められるためには、請負業務に用いる設備や

機械等について「派遣と請負の区分告示に定める要件」として、

次のような所定の要件の充足が求められています。

@機械・設備・機材・材料等の自己調達等により

 業務が行われていること(注文者側の機械・設備等の

 無償使用ではなく、少なくとも賃貸借契約等により費用を

 負担していること)

Aその保守・点検・管理も請負人側で行うこと。

 請負人側で行なうことが守秘義務や技術・安全上問題で

 行なうことが適当でない時は、

 その保守・管理等の費用を負担していること

したがって、請負の場合には請負人が使用する施設・機械・装置等の

管理権が安全管理面も含めて請負人側に移管(賃貸借等)

されている必要があります。

なぜ「偽装請負」をするのか?<労働者派遣とは・・・>

「労働者派遣」とは、

「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、

かつ、他人の指揮命令を受けて、

当該他人のために労働に従事させることを言い、

当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを

約してするものを含まないものとする」とされています。

労働者派遣とは、1人の労働者について

雇用主と使用主が分離している形態をいいます。

そして、労働者派遣の場合、派遣中の労働者は、

「派遣先の指揮命令を受け、派遣先の為に労働に従事する」ものですから、

派遣先の職場に入り、派遣先の機械、装置、器具、設備、通路

その他一切の機器や建設物を仕様ないし利用して

派遣先での指揮命令下に就業しているものです。

したがって派遣先における就業中及び就業に関連する

物的施設等や処理する作業方法は派遣先の所有又

は占有するものを使用し、

又は派遣先の定める作業方法により作業することに

ならざるを得ません。

派遣労働者の安全衛生を確保するため、

原則として実際に就業させ指揮命令して業務を遂行させている

派遣先事業者に安全衛生上の管理責任を負わせる

必要であると認められます。

そこで、派遣先が危険防止等の措置義務(安全衛生管理)を

負う旨の「みなし規定」が派遣法で定められています。

なぜ「偽装請負」をするのか?<製造業における「派遣」と「請負」の区分>

労働者派遣といわゆる請負の区分をめぐって

特に問題となるのは製造業です。

従来禁止されていたものの製造業務への派遣について

平成19年2月末日までは、派遣期間が「1年」と

限定されて労働者派遣が解禁されました。

労働者派遣制度を利用して物の製造業務を行うことも多くなりました。

しかし、当面は、製造業務への派遣は「派遣可能期間が1年」で、

派遣法第40条の2第2項の「派遣可能期間」の「1年」の規定に
違反して派遣を継続することは違法となり禁止され、

派遣元は処罰されます。そこで、労働者派遣と従来からの

請負や業務委託との区分を明白に理解しておくことが必要です。

なぜ「偽装請負」をするのか?<契約名義ではなく実態>

問題となるのは請負や業務委託といっても、

現実の請負人当の労働者の就業場所が注文者や

業務委託者の企業内であるため、施設管理や就業場所に関する

規律や物的管理上の指図には従わなければならない点です。

また、安全衛生、機密の保持等を目的とする等の

合理的な理由に基いて注文者や委託者が労働者の

服務上の規律に関与することがあります。

これらの場所や施設に関する安全衛生管理やセキュリティ管理、

個人情報保護管理については、注文者等が指示・命令等を行う

場合があっても、直ちに「労働者を指揮命令している」要件に

該当するものでありません。

指揮命令は労務管理、作業管理としてなされる場合で、

安全衛生や機密管理等は、注文者側の業務上の必要に

基く独自の責任だからです。

問題は注文上の指示等が「注文者としての指図」の範囲にとどまるか、

労務管理上の指揮命令となるのがポイントになります。

請負や業務委託の形式がとられていても、

請負事業者がわが指揮監督を全く行わず、

労働者のみが請負業務遂行のため注文者の事業場に赴き

注文者企業が労務指揮を行なっている実態があれば、

契約名義は請負となっていても「労働者派遣」または

「労働者供給」になります。

なぜ「偽装請負」をするのか?<業務委託について>

業務委託は、委託者(注文者)が一定の業務や事務の処理を委託し、

受託者がその処理を承諾し、

自己の責任において自己の雇用する労働者を使用し

受託事務(業務)の処理をある程度の自由裁量を持って

独立して行なうことをいいます。業務委託の場合も、

請負の場合と同様、受託者が自社の事業として行うもので、

このため労働者を委託者の企業に派遣していても、

委託者側は労務管理は全て行なわず、

労務指揮は全て受託者側で行い、

労働者は自社の指揮命令下に自社の業務として受託した

業務や事務を遂行するものです。


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なぜ「偽装請負」をするのか?<請負とは・・>

請負は、注文者の注文に従って請負人(受注者)が自らの

裁量と責任のもとに自己の雇用する労働者を使用して

仕事の完成にあたり、製品の納入や役務処理の完了を行うものです。

したがって注文者が請負人の労働者を指揮命令して

業務に従事させることはできません。

ただし、、注文上の指示を行なうことは差し支えありませんが、

それは直接労働者にしてはならず、

労働者を指揮して請負人の業務の管理に当たっている

責任者(細部注文受領代行者)に行なわねばなりません。

なぜ「偽装請負」をするのか?<派遣先の義務>

1.派遣先責任者を選任すること

2.派遣先管理台帳を整備すること

3.次の事項については使用者とみなされ責任を負うこと

イ・労働時間、休憩、休日、深夜業

ロ・育児時間

ハ・生理日の就業が著しく困難な女子に対する措置

ニ・安全衛生管理体制(一般的健康管理を除く)

ホ・労働者の毛件又は健康障害を防止するための措置

ヘ・就業制限

ト・セクシュアル・ハラスメント

チ・母性保護措置

リ・その他の保護

4.派遣契約に当たって1年を越える労働者派遣の役務の提供を受ける制限に抵触する日(抵触日)の事前通知

5.上記A定める1年を超える期間の派遣を受けた業務に

  従事させるため、新たに同一業務に労働者を雇用しようとする場合の

  所定派遣労働者の雇用の努力義務

6.派遣可能期間を超える継続派遣で抵触日通知を受けた

  労働者を派遣期間制限に反して使用する場合の派遣労働者の

  希望による雇用契約の申込義務

7.政令に定める26業務について、同一場所の同一業務について

  3年を超える継続派遣を受入れている場合で、

  同一業務に新たに雇用する場合の派遣労働者に対する

  雇用契約の申込義務

なぜ「偽装請負」をするのか?<その1>

請負は、労働基準法上の規制を受けません。

その為、全面的な使用関係を請け負い事業主が負っています。

他者の雇用する社員(労働力)を利用する

請負先企業は「発注者」にすぎず、

何も労働者に対する法律上の義務を負いません。

請負は、注文者の注文に従って請負人(受注者)が

自らの裁量と責任のものに自己の雇用する労働者を

使用して仕事の完成に当たり、

製品の納入や役務処理の完了を行うものです。

したがって、注文者が請負人の労働者を指揮命令して

業務に従事させることはできません。

但し、注文上の指示を行うことは差し支えありませんが

それは直接労働者にしてはならず、労働者を指揮して

請負人の業務の管理に当たっている責任者に行なわねばなりませんが

派遣については、発注者(派遣先企業)に様々な義務が負わされます。

1人親方は労働者派遣法の適用対象となるか?

「1人親方」の派遣ということもありえます。

しかし、いわゆる1人親方である個人事業主の場合には

派遣先において派遣労働者として指揮命令を受けるようになる

ということは、個人事業主本人が自分の労働者派遣契約を

結ぶということですから、これは「労働者派遣」の定義には該当しません。

個人事業主である1人親方が派遣先で指揮命令を受けて

自ら労働力としての使用収益の対象となって労働を提供し、

労働することになると、それはもはや労働者派遣ではなく、

派遣先と1人親方との間に雇用契約が締結されたことになり、

派遣先の直接雇用する労働者となってしまうことを意味します。

また、1人親方の自営業者としてあくまでも専門的知識、経験、能力を

生かしたプロフェッショナルとして、

派遣先から指揮命令を受けないで独立自営業者として

派遣先より注文や委託を受けて自己の責任で業務を

遂行するということになると、それは「請負契約」ないし

「業務委託契約」となり、労働者派遣には

該当せず派遣法の適用外となります。

取締役は労働者派遣法の適用対象となるか?

取締役を労働者派遣する場合に、

派遣法の適用対象になるかが問題となります。

派遣労働者が多数派遣される場合には、その責任者として

常駐派遣になる場合もあり、

その者が派遣元の事業の取締役の場合には、

派遣労働者といえるか問題となります。

この場合にはその者が使用人兼務取締役であり、

業務執行権や代表権を持たないもので代表者から

指揮命令を受けて労働に従事し、その対価として賃金が支払われて

いる者であれば、雇用される労働者ともなるので

派遣労働者に該当すれば派遣法の適用対象となります。

取締役・1人親方と労働者派遣法の適用

派遣法は、派遣労働者について

「事業主が雇用する労働者であって、
労働者派遣の対象となるものを言う。」と

定義しています。


派遣労働者といえるためには何よりも

第1の要件は事業主が雇用する労働者であることが必要です。

「労働者」とは事業主に雇用され、

事業主から賃金を支払われるものをいいます。

「業務取扱い要領」では「雇用関係」とは

「民法第623条のの規定による雇用関係のみではなく、

労働者が事業主の支配を受けて、その規律の下に

従属的地位において労働を提供し、

その提供した労働の対象として事業主から賃金、

給料その他これらに準ずるものの支払を受けている関係を言う。

労働者派遣に該当するためには、派遣元との間において

当該雇用関係が継続していることが必要である。」とされています。

このため、雇用されていないもので労働者に該当しないものは

適用の対象となりません。したがっていわゆる登録型で行なわれる

労働者派遣事業の場合には、単に登録されているだけで

当該事業主にまだ雇用されていない労働者は、

派遣労働者には該当しないことになります。

同時に派遣労働者となります。

第2の要件は、労働者は、雇用される労働者であるとともに

労働者派遣の対象となるものである場合に派遣労働者に該当します。

「労働者派遣の対象となる」とは「現に労働者派遣をされていると

否かと問わず、労働者派遣をされる可能性のあること、

すなわち労働者派遣命令を正当な理由なく拒否できない地位にある

労働者をいう」のです。

そして、具体的には「労働者派遣の対象となる」ものであるか

否かは労働契約、就業規則、労働協約の定めによることになり、

このような派遣労働者としての地位の取得があったというためには

「派遣労働者として」雇用されたり、

「派遣の対象とする」旨を雇用にあたり明示して労働者の同意を

得ておかなければなりません。

「一時的臨時的派遣」や「応援派遣」は「業」として行う場合に該当するか

反復継続の意思のない一時的、臨時的な1回限りの労働者派遣

多くの場合は雇用調整的な形態で自社において

仕事をする充分な業務量がなくなったことから、

企業間で労働者派遣契約を無寸て一時的に他社に派遣して

その指揮命令を受けて労働に従事することがいわゆる

リストラの1つとして行われることがありますが。

この場合、他社出向の形態をとることもありますが

その場合には派遣先の従業員という地位を取得します。

通常の企業人事異動形態の一種として「他者派遣」と呼ばれている場合は、

派遣法の定義どおり派遣先の従業員の地位を取得せず、

指揮命令の見受ける労働者派遣のパターンに該当することが多いが、

派遣料を得る目的ではなく、自社の業務上の必要に基づくものなので、

派遣法で禁止されている「労働者派遣事業」には該当しません。

「応援派遣:と証される、グループ企業間で他社から

仕事が忙しいので労働者の一次的、臨時的派遣を逆に

求められ労働者を応援に派遣するケースもありますが

いずれの場合でも「業」として行う場合には該当しないので

罰則を持って禁止され「労働者派遣事業」にはあたりません。

労働者派遣事業を「業」として行なう場合とは

「労働者派遣事業」とは、労働者派遣を業として行なうことを言うので「業」とするとは、職業紹介事業等他の各種の「事業」についての判断と同様、次のように解釈されています。

<業務取扱要領>
イ、「業として行う」とは、一定の目的を持って同種の行為を

反復継続的に遂行することをいい、1回限りの行為であったとしても

反復継続の意思を持って行えば事業性があるが、

形式的に繰り返し行なわれたとしても全て受動的、偶発的行為が

継続した結果であって反復継続の意思を持って行なわれていなければ

事業性は認められない

ロ、具体的には、一定の目的と計画に基いて経営する

経済的活動として行なわれるか否かによって判断され、

必ずしも営利を目的とする場合に限らずまた、

他の事業と兼業して行われるか否かを問わない。

ハ、しかしながら、この判断も一般的社会通念に則して

個別のケースごとに行われるものであり、営利を目的とするか否か、

事業としての独立性があるか否かが反復継続の意思の判定の上で

重要な要素となる。

例えば、

@労働者の派遣を行う旨宣伝、広告をしている場合、

A店を構え、労働者派遣を行なう旨看板を掲げている

 場合等については、原則として、事業性ありと判断されるもので

 あること。

(適用除外業務との関係)
労働者派遣事業は、労働者派遣を行として行うことをいうものであり、

派遣労働者が従事する業務に応じて労働者派遣に該当したり、

該当しなかったりするものではなく、

適用除外業務について労働者派遣を業として行なったとしても、

労働者派遣事業に該当する。

適正な請負・業務委託は自由

派遣法は、この労働者供給形態のうち

「自己の雇用する労働者」を「当該雇用関係の下に」他人に派遣し、

他人の指揮命令を受けて労働させる形態のものについて、

従来は一般には職安法第44条で禁止されていましたが、

これを特定の業務に限って、労働者派遣事業として

許可ないし届出という一定の要件のもとに昭和60年の

立法化によって認めたものです。

そして、平成11年の法改正で従来の26業務の制限が緩和され

いわゆるネガティブリスト方式により原則自由化によって

その範囲が大幅に拡大され、

平成15年の法改正で更に緩和されてきたのです。

したがって、

「請負」「業務委託」「出向」「店員派遣」「代理店派遣」等に

ついては、それが「労働者供給」の業務形態に該当するものでない限り

問題はなく、適法で憲法の定める

「営業の自由」と「契約自由の原則」の下に

許・認可との制限なく自由なビジネスとして

行ってさし支えないものです。

これらはもちろん脱法的なものであってはなりませんが、

各契約の要件に該当する合理的なものであれば違法でなく、

自由に行うことの出来るものです。

派遣法の派遣に該当する場合には、派遣元事業者にとっては

顧客先にあたる派遣の発注者側が、

「派遣先責任者の選任」や「派遣先管理台帳」の作成を始め、

労基法や労働安全衛生法その他の法令に定める使用者や事業者としての

責任を派遣法の「みなし規定」や「読替え規定」によって

負うことになっています。

ユーザーである顧客先の企業側に労働法令上の

責任を負わせない請負や業務委託等で実施できるのならば

それによることとしたい、というのが派遣元などの

人材ビジネス業者の本音といえます。

また、平成16年試行の法改正により

専門的26業務等と自由化業務に分けて派遣期間の

上限が延長又は撤廃されたが、解禁となった物の製造業務への派遣は、

平成19年2月末日までは派遣受入れ期間が1年とされており、

それらの制限を受けない自由営業形態の請負や業務委託は、

いわゆるアウトソーシングの重要な手法として

依然として企業社会では多く用いられる形態です。

他人の労務を利用する契約形態

最近は、わが国の企業において、

第三者である他人の労務を利用する契約形態が極めて多くなっており、

その内容も多様多彩となってきています。

そのような中における派遣法に定める「労働者派遣」の位置づけを、

企業における第三者の労務利用形態の多様性との関係においてみると

次のようになります。

image24.gif

第三者の労務の利用形態の第1は「請負」であり、請負人がある

仕事を完成し、それに対して注文者が報酬を与えることを

約するという形の他人の労務を利用する契約です。

それとともに「業務委託」と証される法律行為ではない

一定の事務を処理することを相手方に委託、

相手方がその目的の範囲内においてある程度の自由裁量をもって、

その事務を独立処理することを承諾し、

その対価としての報酬を支払うという形の事務処理のための

準委任的な労務利用契約が第2の典型的なものとして行なわれています。

更に、第3に、企業間の人事異動的な形態として

会社間の契約によって雇用関係を維持したまま相手方の会社に赴き、

その会社の従業員としての地位を取得し、

その会社において指揮命令を受けて労働を提供し、

その対価として雇用主又は出向先から賃金が支払われるという、

いわゆる「在籍出向」があります。

第4に、自己の雇用された会社の命令によって

他社に赴いて業務を行うものですが、

その業務が自社の業務として自社の指揮監督かにそれを行なう形態、

たとえばデパート等への派遣店員、

スーパー等への自社商品の販売促進のためのマネキン等、

宣伝要員の派遣等やメーカーが自社の従業員を販売代理店等へ

サービス・メンテナンス要因として派遣し、メーカーのために、

メーカーの指揮命令の元に代理店において業務を行うという

形態である店員派遣や代理店派遣形態があります。

そのほかに、労働者供給契約に基いて労働者を他人に

使用させるという労働者供給形態である他人の

労働力利用関係があります。

労働者派遣の三面関係(その3)

派遣労働者は

「派遣元に対する雇用契約上の債務」として、

派遣先の指揮命令を受けて労働に従事することになります。

なぜなら、雇用契約は派遣労働者と派遣元との間に

派遣先を就業場所とし、派遣先に労働を提供する目的で

締結されているものですが、雇用契約ですが

基本的・潜在的にはもともと派遣元は雇用契約に基き提供

される労働力の使用処分権限を基礎にして

派遣先及び派遣労働者との派遣関係が成立しています。

派遣労働者の労働提供義務は派遣元に対してあり、

現実的な労働提供は派遣先になされるものの、

基本的。潜在的観念的には派遣元に対してなされるのです。

この三者間の派遣雇用契約関係については次のとおりです。


image25.gif

労働者派遣の三面関係2

派遣元と派遣先との関係については、

両事業主間に締結される「労働者派遣契約」に基いて

労働者が派遣されることになり、これが基礎となります。

派遣元と派遣先との間の、労働者派遣契約関係は取引関係です。

この労働者派遣契約とは、

「当事者の一方が相手方に対し
 
 労働者派遣をすることを約する契約」です。

当事者の一方(派遣元)が、その雇用する労働者を相手方(派遣先)に

雇用されることを約することなく、

派遣元と労働者との雇用契約関係の下に相手方(派遣先)の

指揮命令を受けて相手方のために労働に従事させることを

約した契約であり、契約の相手方は、

当該派遣契約に定められた就業条件に従って、

労働者をその指揮命令の元に労働させ、

その対価として派遣料金を支払うという取引契約です。

派遣法上は、労働者派遣契約について

「対価としての派遣料金の支払」を要件とはしていません、

施行規則等から見れば同法令上においては

派遣料金の支払は当然の前提とされています。

労働者派遣の三面関係について

派遣元事業主と派遣労働者との間に雇用契約関係が成立し、

派遣労働者は派遣元事業主に対して雇用契約の定めるところに

従って労働を提供する義務を負い、

一方、派遣元事業主は提供された労働の対価として賃金を支払う

義務を負います。

したがって、労働基準法第9条の労働者に該当する関係が

派遣元、派遣労働者との間に成立します。

また、賃金、労働時間、休日等派遣労働者の「労働条件」は、

この派遣元との雇用契約により決められることになります、

そこで、派遣元事業主と派遣労働者との労働関係の成立に際しては、

労働基準法第15条の労働条件の明示の適用があり、

主要5項目の文書交付による明示も必要となります。

派遣労働関係においては、派遣元と派遣先との企業間の

労働者派遣取引契約の定めるところにより第三者である派遣先に

派遣され、派遣先の指揮命令を受けて派遣先に労働を

提供するものであり、このような派遣労働を目的とする雇用契約です。

労働者派遣事業関係業務取扱要領について

「労働者」及び「雇用関係」の意義

イ・(自己の雇用する)「労働者」とは、事業主に雇用され、
   事業主から賃金を支払われている者をいう。


ロ・「雇用関係」とは、民法第623条の規定による
   雇用関係のみではなく、労働者が事業主の支配を受けて、
   その規律の下に従属的地位において労働を提供し、
   その提供した労働の対象として事業主から

   賃金、給料そのほかこれらに準ずるものの支配を受けている
   関係をいう。労働者派遣に該当するためには、
   派遣元との間において当該雇用関係が継続している
   ことが必要である。


「指揮命令」の意義

イ・労働者派遣は、労働者を「他人の指揮命令を受けて、
  当該他人のために労働に従事させること」であり、
  この有無により、労働者派遣を業として行なう労働者派遣事業と
  請負により行われる事業とが区分される。


ロ・「他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させる」
  ものではないとして、労働者派遣事業に該当せず、
  請負により行われる事業に該当すると判断されるためには、


@当該労働者の労働力を当該事業主が自ら直接利用すること、
 すなわち、当該労働者の作業の遂行について、
 当該事業主が直接指揮監督の全てを行うとともに、


A当該業務を自己の業務として相手方から独立して処理すること、
 すなわち、当該業務が当該事業主の業務として、
 その有する能力に基き自己の責任の下に処理されることが
 必要であるが、

 具体的には、「労働者派遣と請負により行われる事業との
 区分に関する基準」に基き判断を行なう。


なお、労働者派遣を受け、当該派遣労働者を用いて、
請負により事業を行なうことが可能であるのは当然であるので
留意すること。


ハ・(イ)「他人のために労働に従事させる」とは、
  当該労働への従事に伴って生ずる利益が、
  当該指揮命令を行なう他人に直接に帰属するような形態で
  行われるものをいう。

  したがって事業主が、事故の雇用する労働者を指揮命令する方法の
  1つとして、当該事業主自身の事業所の作業の遂行について
  専門的能力を有する「他人」に当該事業主地震のための指揮命令の
  実施を委任等の形式により委託し、当該指揮命令の下に自己の
  雇用する労働者を労働に従事させるような場合は、
  「他人のために労働に従事させる」とは言えず、
  労働者派遣には該当しない。


(ロ)「労働に従事させる」の前提として場所的な移動は前提ではなく、
   他人が派遣もとの事業所に出向して指揮命令を実施する
   場合であっても、当該指揮命令に伴って生ずる利益が
   当該他人に直接帰属する限りは労働者派遣に該当する。


(ハ)なお、「労働に従事させる」とは、派遣元が雇用主としての
   資格に基き、労働者について自己の支配により、
   その規律の下に従属的地位において労働を提供させることを
   いうものであり、労働者に対する指揮命令に関る権限についても、
   派遣元から派遣先へ委託されて入るが本来的には、
   派遣元に留保され、労働についても観念的には派遣元に
   提供されているものであることに留意する必要がある。


ニ・ロに掲げる基準は労働者派遣事業と請負により行なわれる
  事業との区分に関する基準であるが、労働者派遣契約に関る規制、
  派遣朗おづ者にかかわる雇用制限の禁止にかかわる規定及び
  就業条件の明示に係わる規定の派遣元事業主以外の労働者派遣を
  する事業主についての準用、労働者派遣契約に関する措置に
  係わる規定の派遣先以外の労働者派遣の役務の提供を
  受けるものについての準用、並びに労働基準法等の適用に関する
  特例等の規定において必要となる
 「業として行わない労働者派遣」と請負の形態の区分においても、
  当該基準を準用するものとする。

次回は、労働者派遣の三面関係についてです。

労働者派遣の定義と派遣労働関係

このような派遣法の基く「労働者派遣」の法律関係は、

次のようになっています。派遣法における労働者派遣の定義は

「自己の雇用する労働者を雇用関係の元に、
 かつ他人の指揮命令を受けて、他人のために労働に従事させることを
 いい、他人に対し、労働者を他人に雇用させることを
 約してするものを含まないものとする。」

ものです。

したがって、労働者派遣の場合には通常の雇用関係のように
事業主と労働者といった関係でなく、

@派遣元事業者と派遣労働者との間には派遣就業を
 目的とする雇用契約関係があり、

A派遣元と派遣先との間に労働者派遣契約が締結され、
 この契約に基き、派遣元が派遣先に労働者を派遣し、

B派遣先事業者は当該派遣契約に基いて派遣された派遣労働者を
 指揮命令して自社(派遣先)の業務に従事させる
 
といった3つの関係が生じるのであり、

このような三者間の法律関係を

「派遣労働関係」ということができます。


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労働者派遣法のポイント

労働者派遣法は、労働者派遣事業を、

労働力需給調整システムの一つとして制度化するとともに、

労働者の保護と雇用の安定の観点からルールを定めた法律で

次の点がポイントになります。


(1)労働者派遣事業を

「自己の雇用する労働者を他人の
 指揮命令を受けて労働に従事されることを業として行うこと」とし、

その概念と規制対象を明確化した。


(2)労働者派遣事業は、ルールに則って事業運営を

適正に行いえる事業主に対してのみ一定の業務に限り認めることとし、

常用雇用労働者のみを派遣するものを

「特定労働者派遣事業」として届出制、

それ以外の登録型派遣労働者を中心とするものを

「一般労働者派遣事業」とし、これを許可制としたほか、

労働者派遣事業の対象業務を限定
(ただし、平成11年12月施行の法改正では、ネガティブリスト化)

するなど事業規制を行なうこととした。

(3)労働者派遣事業の対象となる業務(適用対象業務)を定め
(ただし、平成11年12月施行の法改正では、
 ネガティブリスト方式により原則自由化の改正が行われた)

適用対象業務以外の業務について労働者派遣事業を行なうことを

罰則付きで禁止した。


(4)派遣先の常用労働者の雇用慣行を損なわない範囲で

派遣業務の種類別に派遣可能期間を定め常用労働者の代替防止を図り、

派遣期間の抵触日通知制度を設けたこと。


(5)常用代替化防止のため一般的派遣業務
(いわゆる自由化業務といわれるもの)

について1年を超え3年以内の労働者派遣契約を結ぶ場合に

派遣先の過半数で代表者等の意見を聴くこととした。
(平成16年3月施行の法改正。)


(6)派遣元と派遣先との間の労働者派遣契約の

内容を定め適正な派遣を行なうこととしたこと。


(7)派遣元、派遣先が講ずべき措置等についても

これを定め派遣労働者の就業条件の明示の下に適正な就業が

確保されるようにしたこと。


(8)派遣労働者の雇用安定の為に、

派遣労働者の希望等による派遣労働者に対する派遣先の

雇用申込についての要件を整備していること
(特に平成16年3月施行の法改正)


(9)労働基準法、労働安全衛生法、作業環境測定法等の

適用につき派遣元、派遣先いずれが事業者や使用者としての

責任を負担するのかについてもこれを法律上特例として明文化し、

その保護に万全を期したこと。